当教室は、貫井英明初代教授のもと、昭和59年に開設されました。
それ以来、「人の和を大切にし、開かれた教室に」を信条に教室づくりが進められてきました。
私は、平成17年7月、貫井教授の山梨大学学長就任に伴い、第2代教授に就任いたしました。
脳神経外科の対象疾患は多岐にわたり、悪性・良性脳腫瘍、脳血管障害(脳卒中)、脊椎・脊髄疾患、頭部外傷、てんかん、三叉神経痛などの機能的神経疾患、神経奇形などの小児脳神経疾患などがあります。
山梨大学脳神経外科においては、これらに対し、顕微鏡による外科治療、Microsurgeryを中心に、血管内治療(Endovascular therapy)、定位放射線治療(Stereotactic radiosurgery)、化学療法(Chemotherapy)など幅広い手段を駆使し、関連他科との協力のもと、神経科学に立脚したevidence に基づいた治療を行っております。
また、これらの病気の修復を目的とした治療に加え、予防的外科治療にも力を入れております。
最高の医療を提供するためには、既存の治療では解決できない問題を克服していくことも大学に課せられた重要な任務であります。
当教室では、治療法の開発ならびに治療予後の改善に向けて、基礎医学と臨床医学の双方の観点から研究を行っています。
脳血管障害、特に、虚血性神経細胞障害の機序の解明と神経保護の開発、ならびに悪性脳腫瘍に対する免疫療法などの新しい治療法の開発を2本柱に、関連部門と連携・協力して研究を行っております。
また、大学の根幹である教育においては、脳神経外科を含めた幅広い教養を身につけ、社会の要請に答えるべく、患者本位の医療を目指して、患者の内面にも配慮できる人間性豊かな医師の育成を目指しております。
社会の中の大学として医療レベルの向上を図りながら21世紀の新しい科学としての脳神経外科の確立を目指して真摯な態度で診療、研究、教育の発展につとめたいと考えております。
山梨大学医学部脳神経外科学講座
教授 木内 博之