機能的疾患とはパーキンソン病、本態性振戦、不随意運動、てんかん、三叉神経痛、片側顔面けいれんなどの疾患です。
薬物療法が第1選択となることが多いですが、薬物療法で治療困難な疾患は脳神経外科手術が有効なことがあります。
基本的な治療は、内服加療によりますが、薬の効果が思わしくない、副作用がある、症状の増悪などが認められる場合、脳深部刺激療法(DBS)といわれる治療を行います。
これは脳の深部に留置した電極から電気刺激を行うことにより、その部位の活動を抑える治療法です。
てんかんは慢性の脳の病気で、大脳の神経細胞が過剰に興奮し、脳の発作性症状が反復して起こります。
MRIなどで脳に何も器質的疾患がなく生じる特発性のものと、脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷が原因となって生じる症候性てんかんがあります。
発作は、けいれんや意識消失などが突然生じます。
総人口の約1%の患者数がいます。
治療は薬物療法が主体となります。
約75%が薬によってコントロールされますが、残りの25%は治療効果が不十分であり、2〜3種類の内服薬によってもコントロール出来ないものが難治性てんかんとされます。
難治性てんかんの中には、海馬硬化症など手術(焦点切除術など)よって発作が抑えられるものもあり、当科では当病院のてんかんセンターと協力して、治療に当たっています。
脳幹から出た神経が、血管によって圧迫される"神経血管圧迫"によって起こります。
顔の左右どちらか一方に、鋭く、短い電気の走るような激しい痛みが、発作的に(2~10秒)、繰り返して起こります。
痛みの部位は、上顎や下顎に多く、鼻や唇の周りなどを触れる事によって痛みが誘発されます。一般的な痛み止めは効きません。
左三叉神経痛の症例です。
手術用顕微鏡で観察すると*部分の影に血管があり、三叉神経を圧迫していると考えられます。
内視鏡を用いて観察すると、矢頭の部分で血管が三叉神経を圧迫していました。
神経から血管を剥離して減圧、固定を行います。
左側から脳幹と小脳を見た図です。
赤丸の部分で三叉神経が血管によって圧迫され、三叉神経痛が生じます。
内服治療(テグレトール内服)、手術、定位放射線治療など
全身麻酔下で、耳の後ろを4~5cm切開し、手術用顕微鏡を使用して、血管による神経の圧迫を解除します。
脳幹から出た神経が、血管によって圧迫される"神経血管圧迫"によって起こります。
顔の左右どちらか一方、特に下瞼の軽いピクピクしたケイレンで始まり、徐々に上瞼、頬、口の周りと広がって行き、また、ケイレンの程度が強くなり、引きつれるようになります。
右片側顔面けいれんの症例です。
手術用顕微鏡で観察すると、矢頭の部分で顔面神経が血管に圧迫されていることが分かります。
内視鏡で観察すると、矢頭の部分が圧迫されています。
神経から血管を剥離、減圧して固定します。
左側から脳幹と小脳を見た図です。
赤丸の部分で顔面神経が血管によって圧迫され、片側顔面けいれんが生じます。
内服治療、ボトックス注射、手術
全身麻酔下で、耳の後ろを4~5cm切開し、手術用顕微鏡を使用して、血管による神経の圧迫を解除します。