下垂体腺腫は、脳下垂体に発生する良性腫瘍です。
脳下垂体は、人体の内分泌の調整を行っています。
このため、ホルモンバランスを崩して発症する(生理不順や乳汁分泌、先端巨大症など)ことが多いのですが、半分は、ホルモンバランスを崩さないタイプが存在します。
これは、視野障害(両耳側半盲:両目の外側が見えなくなります)で発症します。
当科では、2009年より神経内視鏡とナビゲーションシステムを使用し、経鼻による手術を行っています。
頭を切ることがないため、患者さんへの負担は少なくすみます。
また、2016年以降は術中MRIを用いて更に安全性と確実性を向上させています。
トルコ鞍から鞍上部にかけて大きな下垂体腺腫認めます。
鞍隔膜部に(矢印)腫瘍が残存していることが分かります。
腫瘍が全摘出されていることが確認できます。
従来手術用顕微鏡で行っていた経鼻手術ですが、術野が狭く、病変が見えづらいと言う欠点がありました。
神経内視鏡は、細径で術野に近接して観察が出来、高倍率かつ広角で、明瞭な視野を得ることが出来ます。
オリンパス社製内視鏡装置
トルコ鞍の硬膜を露出した状態
硬膜を切開し膨隆する下垂体腺腫(中央)
腺腫摘出後