脳動静脈奇形(AVM)は脳血管の動脈と静脈がナイダスという血管の塊を介して直接つながってしまう病気で、脳出血やくも膜下出血の原因となります。
病変が周囲の脳組織に影響して、けいれん発作を引き起こすこともあります。
CTやMRIで診断を行いますが、詳しい情報を得るためにはカテーテルによる脳血管撮影検査を行います。
治療は外科手術、脳血管内治療、定位放射線治療を単独または組み合わせて行います。
外科手術では、脳動静脈奇形に関わる動脈や静脈、奇形部分を周囲の脳組織から切り離し摘出します。
脳血管内治療は動脈に挿入したカテーテルを通して血管に塞栓物質を注入し、奇形部分を塞ぐ方法です。
脳血管内治療単独での根治は難しく、外科手術や放射線治療と組み合わせて行います。
定位放射線治療は脳動静脈奇形に集中的に放射線照射を行い、奇形部分を徐々に閉塞させます。
患部が完全に閉塞するまでには放射線治療をしてから2-3年ほどかかります。
また、ある程度の大きさになると放射線治療のみでの根治は難しいため、外科手術や脳血管内治療を組み合わせることもあります。無症状の場合には経過観察していくこともあります。
当院は外科手術とカテーテル治療、検査を同時に行うことができるハイブリット手術室を完備しており、脳動静脈奇形に対して高い精度での摘出術が可能です。
点線が脳動静脈奇形
ナイダスを周囲脳と切り離している。
血管奇形の一部(黒色部分)は塞栓されており、最小限の出血で安全に摘出できる。
脳動静脈奇形が完全に摘出されている。